まずは基本、労務管理の基礎知識

変形労働時間制

 労働基準法において、法定労働時間は1日8時間以内、週40時間以内と定められており、この時間を超えると割増賃金を支払わなければなりません。
 小売業や飲食店のように長時間営業の場合、労働時間が1日8時間を超えることは少なくありません。労働基準法では、不規則な労働時間に対応するために、変形労働時間制というものが認められています。

 変形労働時間制には、「1ヶ月単位の変形労働時間制」「フレックスタイム制」「1年単位の変形労働時間制」「1週間単位の非定型的変形労働時間制」があります。
 そのなかでも、小売業や飲食店で多く導入しているのは、「1ヶ月単位の変形労働時間制」「1週間単位の非定型的変形労働時間制」になります。

「1ヶ月単位の変形労働時間制」
「1週間単位の非定型的変形労働時間制」

 

1ヶ月単位の変形労働時間制

 これは、1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えない定めにすることです。
つまり、変形期間中の所定労働時間の合計を、次の計算式による時間内とすればよいことになります。

 1週間の法定労働時間(40hまたは44h)×変形期間(1ヶ月以内)÷7日(1週間)

1ヶ月の暦日数 労働時間の総枠 左の表は、小数点2位以下を
切り捨ててあります。
括弧内は特例措置対象事業場
(週44時間)の法定労働時間の
総枠になります。
31日 177.1時間(194.8時間)
30日 171.4時間(188.5時間)
29日 165.7時間(182.2時間)
28日 160.0時間(176.0時間)

 

1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定又は就業規則等において次の要件を定めなければなりません。

<労使協定>
 労使協定を締結する場合には、@変形期間と変形期間の起算日、A対象となる労働者の範囲、B変形期間中の各日及び各週の労働時間、C協定の有効期間について協定し、所轄労働基準監督署に届出を行う必要があります。

<就業規則>
 就業規則に、@変形労働時間制を採用する旨の定め、A労働日、労働時間の特定、B変形期間の所定労働時間、C変形期間の起算日について記載し、就業規則(変更)届を所轄労働基準監督署に提出する必要があります。

 

「1週間単位の非定型的変形労働時間制」

 小売業や飲食店など、業務に著しい繁閑の差が生じることが多く、あらかじめ就業規則等で労働時間を特定することが困難であり、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用することができない場合には、1週間の労働時間の枠内で各日の労働時間をやりくりすれば、全体としては労働時間の短縮を図ることができます。 1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用する場合には、次の要件を満たす必要があります。

  • @ 常時使用する労働者数が30人未満の小売業、旅館、料理店及び飲食店の事業であること。
  • A 労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出ること。
  • B 労働時間は1週40時間の範囲内で、1日は10時間以内を限度とすること。
  • C 少なくともその1週間の開始する前に、各日の労働時間を書面で通知すること。
  • D 緊急でやむを得ない場合には、あらかじめ通知した労働時間を変更しようとする日の前日までに書面で通知すること。

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